株式会社IHIが、相馬市下水処理場において、太陽光発電の余剰電力をカーボンフリー蒸気として熱利用する「再エネ熱利用システム」の実証運転を開始した。このシステムは、再生可能エネルギーを効率よく活用し、カーボンニュートラル社会への貢献が期待されている。

余剰電力をカーボンフリー蒸気に変換する画期的な技術

太陽光発電は、日照条件により発電量が変動しやすく、余剰電力が発生することが課題となっている。この課題を解決するために、IHIが開発した「再エネ熱利用システム」は、太陽光発電によって発生した直流電力を効率的にカーボンフリー蒸気に変換し、蓄熱式ボイラに蓄える技術を導入している。
このシステムは、通常は無駄になる直流電力をすべてパワーコンディショナー(PCS)で変換し、蓄熱式ボイラで熱エネルギーとして蓄え、必要なときに活用する仕組みを採用している。この技術により、従来は利用されなかった余剰電力を有効に使うことが可能となり、エネルギーの効率的な利用が実現している。
相馬市下水処理場での実証運転は2024年4月に開始され、これまでの運転で安定した稼働を確認している。2024年6月の電力利用実績では、交流電力で23,160kWh、直流電力で11,860kWhが活用された。IHIは、このシステムを通じて余剰電力の課題を解決し、再生可能エネルギーのさらなる普及を目指している。
今後は、この再エネ熱利用システムを他の地域や施設へ展開することを視野に入れており、太陽光発電の活用がさらに広がることが期待されている。IHIは地産地消型エネルギーの利用促進に向けた取り組みを続け、カーボンニュートラル社会の実現に向けたさらなる技術革新を進めていく考えだ。

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