名古屋大学の研究チームがイネの根の形成に関する新たなメカニズムを解明した。この発見は、イネ科畑作物の耐湿性育種への応用が期待される。研究成果は、2024年6月に「Plant Physiology」誌に掲載された。

イネの根が示す適応力が新しい育種の可能性を開く

異常気象による豪雨被害が深刻化する中、水田でのイネの育成に適した根の形成メカニズムが注目されている。名古屋大学の研究グループは、カルシウム依存的に生成される活性酸素種がシグナルとなり、通気組織と呼ばれる空隙を形成することで、イネが酸素の乏しい土壌に適応する仕組みを解明した。
通気組織は、植物体内で酸素を効率よく供給する役割を果たし、これによりイネは冠水土壌での生育が可能となる。 特に、カルシウム依存性プロテインキナーゼ(CDPK)が活性酸素種の生成を促進し、不定根の通気組織形成を制御していることが明らかになった。
この発見は、コムギやトウモロコシなどの耐湿性を高める新たな育種技術につながる可能性がある。 研究成果は、耐湿性植物の育種における重要なステップとなり、農業分野における持続可能な生産を促進することが期待される。

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