★ここが重要!

★要点
メキシコの手工芸「メルカドバッグ」を再生プラスチックコードで編み、10年級の耐久を掲げるLetraが2025年AW新作を投入。長期使用・修理・通年コーデ提案で、“買い替え前提”から“使い続ける前提”へ消費の重心をずらす。
★背景
プラスチックは削減だけでは回らない。焼却・埋立に偏った処理から資源循環へ舵を切るいま、素材を“長く・価値高く”使い続ける設計(ロングライフ×リペア×回収)が鍵だ。工芸とサーキュラーの接続点として、耐久と美意識の両立が問われる。

「プラ=悪」という短絡を裏返す。Letraのメルカドバッグは、廃プラ等から再生したコードを、メキシコの職人が木型で強く編み上げる。水に強く、自立し、型崩れしにくい。10年単位で使い込める頑丈さは“買う回数を減らす”設計思想そのものだ。今季は“脱・重色”を掲げ、秋冬の装いにも差し色で軽さをつくる。素材の罪悪感ではなく、時間価値で環境負荷を下げるアプローチである。

「減らす」だけでは届かない——“長く使う”で環境負荷を削る。

プラごみ問題の主戦場は、単純な使用量カットではない。短寿命・大量買い替えの行動が廃棄を増やす。Letraは再生プラを採用しつつ、約10kgの耐荷重、汚れても拭ける耐水性、床置きでも自立する設計で“長寿命の使い勝手”を積み上げた。
循環は、処理工程だけでは完結しない。日々の使い方と保ち方といった、ユーザーの所作に宿る。耐久が効けば、ライフサイクル全体のCO₂は静かに減る。素材の“見方”を変える実務だ。

「工芸×再生材」——強度を生む手仕事、価値を生む時間。

現地の職人は男性が多く、木型を基準に強いテンションで編み込む。結果、形状が保たれ、型崩れしにくい。工芸の身体性が、再生材のバラつきを吸収し、製品の均質さを担保する。Letraは修理受付の制度化も見据える。クラフトの回路に“アフターケア”を重ねることで、単なるファッション小物から“直せる道具”へ格上げする狙いだ。長く使える物は、長く語られる。

通年化のスタイリング、“脱・重色”で秋冬に抜けをつくる。

秋冬は重くなりがちな配色に、タータンやメタリックの小型サイズで軽さを差し込む。異素材ミックス「ウール/レザー」に、編みの光沢を一匙。夏の“かご”のイメージを超え、再生プラゆえの季節感の薄さが武器になる。使い回しが効くほど、購入点数は自然に減る。環境配慮を“我慢”ではなく“洒落”で実装する提案だ。

サーキュラーの設計図「回収・修理・生産地」への還元。

Letraは2014年から国内認知を積み上げ、仕入れは2015年の1,200個から2024年に3.5万個へ。生産者への還元も拡大し、伝統技術の継承や刑務所での職業訓練へ波及する。循環は環境だけでなく、生活の安定という社会的便益も回す。
次の一手は“回収の見える化”だ。修理受付の運用と合わせ、使い終えた個体の解体・再資源化まで線で設計する。顧客が“使い切る”を選べる導線を整えることで、サーキュラーはプロモーションからオペレーションへ移行する。循環は気分では動かない。体験と整備といった小さな工夫の積み上げが、大きな廃棄を遠ざける。

【POP UP SHOP】 10月・11月開催スケジュール

■横浜ジョイナス
開催期間:10月17日(金)~ 11月4日(火)
場所:横浜ジョイナス B1階
住所:神奈川県横浜市西区南幸1-5-1
HP:https://www.sotetsu-joinus.com/

■ルクアイーレ
開催期間:10月29日(水)~ 11月6日(木)
場所:ルクアイーレ 4階
住所:大阪市北区梅田3-1-3
HP:https://www.lucua.jp/

Letra Official WEB SHOP:https://www.letratokyo.jp/
POP UP SHOP スケジュール:https://www.letratokyo.jp/events/

【コレクションの要点】
・素材:再生プラコード(耐水/自立/高耐久)
・設計:強テンションの手編み+木型で型崩れ抑制、約10kg耐荷重
・運用:長期使用を前提、修理受付の制度化を準備
・スタイル:秋冬“脱・重色”、異素材ミックスで通年化
・接点:各地POP UPとECで体験と購買を接続

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