★ここが重要!

★要点
北軽井沢の一棟貸しヴィラリゾート「あさま空山望」が、3泊からの連泊「大人の山ごもりプラン」を冬季限定で提供。浅間山ビューのヴィラを拠点に、ロングステイでのリモートワークや創作活動、サウナや星空、ローカル食材の食体験を束ね、“仕事と休養を両立する滞在”を具体化する。
★背景
長時間労働とメンタル不調が社会課題となる一方で、リモートワークやワーケーションが浸透し、「どこで働き、どこで整えるか」が問われている。自然環境と地域資源を活かしたサステナブルな宿泊モデルは、国立公園内でのトレーラーハウス型宿泊など、各地で広がりつつある潮流だ。

リセットではなく、チューニングとしての旅。都市の喧騒とオンライン会議に挟まれた日常から少し離れ、数日間だけ“山のリズム”に自分を合わせてみる——そんな滞在のかたちが現実味を帯びてきた。
群馬県・北軽井沢の一棟貸しヴィラリゾート「あさま空山望」が始める「大人の山ごもりプラン」は、3泊以上の連泊を前提にした冬のロングステイ企画だ。雪化粧した浅間山を眺めながら、仕事をしてもいい。本を読み、書き、つくってもいい。サウナで“ととのい”、夜は満天の星空を見上げる。そこにローカル食材とEVドライブを組み合わせ、「山ごもり」を今の生活者の文脈にアップデートしたのが、このプランの肝だ。

リゾートは「逃げ場」から「チューニングの場」へ。3泊からはじまる大人の山ごもり

「あさま空山望」が位置するのは、標高約1,100mの北軽井沢。6万㎡超の敷地に16棟のみというゆとりある配置で、全棟から浅間山の眺望を確保したヴィラリゾートだ。監修はファッションデザイナーのコシノジュンコさん。建築とランドスケープを含めたトータルな世界観で、“別荘に招かれたような時間”をつくり込んでいる。
今回の「大人の山ごもりプラン」は、12月1日〜翌年3月20日までの冬季に提供される3泊以上の連泊プランだ。プレジデンシャルスイート「ポラリス」をはじめ、全タイプのヴィラが対象で、4人1室3泊利用なら1人あたり5〜9万円台から。決して安くはないが、「年に一度、自分たちのコンディションを整えるための投資」と考えれば、手の届くラインでもある。
ポイントは、“何もしない贅沢”を押しつけないことだ。高速Wi-Fiと簡易キッチン、ワークにも耐えるテーブルが整った空間は、そのまま「山のサテライトオフィス」にもなる。終日オンライン会議に詰め込むのは本末転倒だが、午前だけ働き、午後は雪の森を歩く、といった日程も組める。
世界メンタルヘルスデー2024のテーマは「今こそ職場でメンタルヘルスを優先しよう」だった。働く場の環境が心の健康に与える影響は大きく、偏見やハラスメント、過度なストレスが生産性を蝕むとWHOも警鐘を鳴らす。場所を変え、身体感覚と時間感覚をリセットするロングステイは、“働き方改革”の延長線上にある「働く場所改革」としても機能しうる。

一日を満たす冬の食卓。信州味噌とローカル食材が支えるロングステイの燃料

長く滞在するほど、食事は旅の満足度を左右するインフラになる。このプランでは、夕食に新たなオプションとして「信州味噌仕立てジビエ・上州豚しゃぶしゃぶ」が加わった。地元・信州の味噌で仕立てた鍋に、ジビエと上州豚という山のタンパク源をくぐらせる。冬の高原は冷えるが、そのぶん「温まる理由」をいくつも用意しているわけだ。
朝はバルミューダのオーブンレンジやケトル、象印の圧力炊飯器、バーミキュラのオーブンポットなどが備わる簡易キッチンで、自炊を楽しめる。パンを焼き、炊きたてのご飯をよそい、スープを温める。調理のプロセス自体が、ロングステイのリズムをつくる。
昼には、宿専用のセレクトメニューが1食分つく。スープやハンバーグなど、「ちょっといいレトルト」のような位置づけのメニューで、仕事や創作の合間に小さなご褒美として効く。
こうした食体験は、単なる“ラグジュアリーの演出”にとどまらない。地域の食材や調味料を使うことは、ローカルな農業・畜産・加工業を支えることでもある。ちなみに秩父多摩甲斐国立公園でトレーラーハウスを活用した新しい観光モデルを展開するEarthshipも、地域リソースを活かした収益分配モデルで、地元経済との共生を目指している。「おいしい」を軸にした地域との接続は、サステナブルツーリズムの重要な要素になりつつある。

「信州味噌仕立てジビエ・上州豚しゃぶしゃぶ」イメージ
調理器具・簡易キッチンイメージ

サウナと星空とEV。静寂をデザインするテクノロジー

プレジデンシャルスイート「ポラリス」は、このプランの象徴的な器だ。客室内にはプライベートサウナとシアタースクリーンが備わる。サウナで身体を温め、雪見風呂でクールダウンし、湯上がりにワイン片手で映画を観る。外は凍てつく静寂、内側は適度な熱と光。外界と内面のコントラストが、冬の“ととのう時間”をつくり出す。
夜のアクティビティとして用意された「天空の道・真冬の星空観賞ツアー」も、このリゾートのキャラクターをよく表している。標高約1,200m、晴天率の高い北軽井沢は冬の星空観賞にとって好条件だ。人工照明の少ない「天空の道」から見上げる星のパノラマは、都市の夜景とは別種の“情報量”を持つ。
移動手段にも、静けさへのこだわりがにじむ。都心からの往復レンタカーオプションとして用意されたのは、電気自動車・Mercedes Benz EQS SUV。スタッドレスタイヤを履いた6人乗りのラグジュアリーEVで、走行音の少なさが冬のドライブを支える。排気ガスではなく、雪を踏む音と車内の会話だけが耳に残る移動は、それ自体が体験の一部だ。
都市部と地方を結ぶモビリティも、EV化やカーシェアなどを通じて変化しつつある。ウェルビーイングとテクノロジーをテーマにしたイベント「Well-being & Age-tech 2024 Award」でも、人の健康や暮らしを支える仕組みとしての移動・住環境のアップデートが議論されている。「あさま空山望」のEVオプションは、その一つの実装例と見てもいい。

犬と雪と森——北軽井沢というフィールドのポテンシャル

「あさま空山望」は、愛犬と一緒に泊まれるリゾートでもある。敷地内にはドッグランがあり、冬には雪上での宝探しや雪遊びも楽しめる。さらに、専属ガイド付きのプライベートスノーシューツアーでは、愛犬とともに雪道を歩きながら、雪化粧の浅間山を望むことができる。犬と共に過ごす時間は、散歩の延長ではなく、“一緒に山を旅する”体験へと変わる。
隣接するキャンプ場「アウトサイド・ベース」と連携したスノーシューツアーも用意され、アウトドア未経験者でもガイド同行で安心して森を散策できる。同じ北軽井沢エリアでは、キャンプ場「スウィートグラス」がツリーハウスを活かした30周年記念プロジェクトを進めるなど、自然と遊びを掛け合わせた場づくりが継続しておこなわれている。
浅間高原の森とツリーハウス、そして山を望むヴィラリゾート。これらを面でとらえると、北軽井沢は「自然に包まれながら長く滞在し、暮らし方や働き方を試すフィールド」としてのポテンシャルを持つことが見えてくる。犬連れであれ、ひとりであれ、家族であれ。「誰と、どの距離で自然と向き合うか」を自分でデザインできる環境は、観光地というより“生活の試験場”に近い。

ロングステイが変える働き方。“どこで生きるか”を試す、期間限定の実験場

人生100年時代、働く時間と生きる時間の境界はますます曖昧になっている。世界人口の約60%が何らかの形で働いている現在、職場の環境が心身の健康に与えるインパクトは大きい。WHOは偏見やハラスメント、劣悪な労働環境がメンタルヘルスを悪化させ、仕事への参加や生産性を損なうと警告している。
日本でも、長時間労働や慢性的なストレスが「働き続けられるかどうか」を左右する要因になりつつある。そこで重要になってくるのが、「どこで働くか」「どこで整えるか」という視点だ。
・週のうち数日をリモートワークに切り替える
・繁忙期を避けて、数日間のワーケーションを入れる
・チームで企業研修を兼ねたオフサイトミーティングを行う
「あさま空山望」の「大人の山ごもりプラン」は、単なる宿泊商品ではなく、こうした働き方の実験を支える“ステージ”とも言える。星空の下で次の事業構想を語り合う経営チームもいれば、サウナと執筆を繰り返すクリエイターもいるだろう。
秩父多摩甲斐国立公園でのEarthshipの取り組みが、自然と地域と観光を結ぶ持続可能なモデルを指し示すように、北軽井沢の「あさま空山望」は、「働く」「休む」「暮らす」をゆるやかに接続し直す宿泊モデルの一つになりうる。
大量消費型のレジャーではなく、少数がじっくり滞在するロングステイ。それは、観光地にとっても、旅人にとっても、“消耗しない関係”をつくるための選択肢だ。

ホームページはこちら

あわせて読みたい記事

秩父多摩甲斐国立公園にトレーラーハウスを活用した新しい観光モデル

2週間で建設可能。国産材100%、木質化率39%の新型キャビン。鹿の視点で考えた自然に溶け込む「SANU CABIN MOSS」北軽井沢に誕生!

木くず、おがくず、牛糞、鶏糞。土づくりと農業と地域内循環。