★ここが重要!

★要点
造船業をルーツに持つダイゾーが、電動モビリティブランド「e-NEO」のリブランディングを始動。船舶設計のノウハウを転用した高剛性・軽量な3人乗り3輪EVにより、安全性とデザインを両立した“都市の足”を提案する。
★背景
都市部の渋滞や環境負荷、ラストワンマイルの課題解決に向け、世界中でマイクロモビリティへの注目が高まっている。自動車産業の外側から参入した「異業種」の技術が、画一的な移動の風景を変える起爆剤となるか。

船を作る会社が、車を作る。そんな異色の出自を持つEVが、大阪から走り出そうとしている。株式会社ダイゾー(本社:大阪府大阪市、代表取締役:南 宣之)が展開する「e-NEO」は、単なる電動バイクでも、縮小された自動車でもない。造船のDNAを宿し、都市という大海原を航海するために設計された“陸を行く船”だ。ブランドサイトの刷新とムービー公開を機に、その全貌が明らかになった。既存の自動車産業とは異なる文脈から生まれたこのモビリティは、私たちの移動をどう変えるのか。

造船の技法でアスファルトを泳ぐ。耐久性と軽量化のパラドックス

プロジェクトの核心は「技術の転用」にある。1936年創業のダイゾーが長年培ってきたのは、過酷な海上で命と積み荷を守る造船技術だ。その設計思想が、全長約2.2メートルの小さな車体「NEO-ONE」に注ぎ込まれている。
波の衝撃に耐える船舶の構造力学を応用し、強靭な剛性を確保しつつ、重量は310kgに抑えた。金属加工のプロフェッショナルだからこそ成し得た、軽さと強さの同居。最高速度は50km/h、航続距離は約100km。都市の交通流に乗れるスペックを持ちながら、家庭用電源(100V/200V)で充電できる手軽さは、まさに現代の生活にフィットする。
普通自動車免許で運転可能な3人乗りトライク(3輪)。雨風をしのぎ、ヘルメットなしで乗れる開放感は、車とバイクの“いいとこ取り”と言えるだろう。

“車”未満、“バイク”以上――都市の隙間を埋める最適解

都市の移動における「無駄」は明白だ。1人の人間が移動するために、1トン以上の鉄の塊(乗用車)を動かす非効率。e-NEOはこの矛盾への回答でもある。
公開されたブランドムービーが映し出すのは、カフェへ向かう日常や、ちょっとした送迎の風景。巨大なSUVでは持て余す路地も、e-NEOならスイスイと抜けていく。コンパクトな車体は駐車スペースの悩みも軽減するはずだ。
これは単なる移動手段のダウンサイジングではない。必要なエネルギーで、必要な距離を、快適に移動する。「足るを知る」モビリティの提案だ。環境負荷低減は我慢の結果ではなく、賢い選択の結果としてもたらされる

機能美という“意匠”、風景になるモビリティへ

e-NEOが目指すのは「走るデザインプロダクト」としての地位だ。無骨になりがちな小型モビリティにおいて、洗練されたフォルムは都市景観の一部として機能する。サイトリニューアルで強調されたのは、スペックよりも「ライフスタイル」だった。どんな服を着て、誰と、どこへ行くか。移動そのものを楽しむ体験価値へのシフトだ。
海の上で人を運んできた技術屋たちが、今度は街の中で人の時間を運ぶ。重厚長大産業の象徴だった造船技術が、軽やかでパーソナルな移動文化へと昇華される。大阪発のこの小さな革命は、日本のものづくりの新たな可能性を示唆している。

製品情報
e-NEO(イーネオ)「NEO-ONE」
全長2,245mm × 全幅1,150mm × 全高1,630mm
定員:3名
免許:普通自動車免許

ホームページはこちら
公式Youtube:https://www.youtube.com/@eNEOdaizo
公式instagram:https://www.instagram.com/eneo.japan/

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