イギリスのブランド《Mother of Pearl》のデザイナー、エイミー・パウニーのサステナブルなファッションへの挑戦を描いた映画『ファッション・リイマジン』が11月15日から21日までキネカ大森で上映される。VOGUE新人賞の受賞をきっかけに生まれたコレクション《No Frills》の背後には、理想と現実の狭間で奮闘するデザイナーの姿があった。

業界を変えるために“旅する”デザイナー、エイミー・パウニー。
サステナブルファッションに懸ける情熱と葛藤の行方と、
業界の未来を見据えた《Mother of Pearl》の革新性。

エイミー・パウニーは2017年、VOGUEの新人賞を受賞した。その賞金で彼女が目指したのは、ファッション業界でのサステナブルな革命だった。彼女のコレクション《No Frills》は、大量消費の象徴ともいえるファッション業界の潮流に逆らい、持続可能な素材や製造プロセスにこだわるものとして注目を集めた。
エイミーと彼女のチームは、理想の素材を求めて南米ウルグアイやペルー、ヨーロッパなどを巡り、現地の生産者と直接対話を重ねた。紡績工場の選定や素材の確保に苦しむ中で、地元の信頼できる生産者に出会い、彼らとの協力関係を築くまでの過程が映画には描かれている。監督ベッキー・ハトナーは、3年間にわたりエイミーに密着し、その挑戦の舞台裏を見つめ続けた。
大量生産・大量消費の波に逆らうように、すべてのプロセスにサステナビリティを取り入れた《No Frills》が発表されると、ファッション業界内でもその革新性が話題となった。このコレクションは、チャールズ皇太子(当時)主導の「キャンペーン・フォー・ウール」など、業界全体にサステナビリティを浸透させる契機となると期待されている。
エイミーは、環境活動家の両親のもと、自然と共に暮らす環境で育った。彼女の価値観が《Mother of Pearl》でのデザインやブランド理念にも反映され、ファッションに対する新しい視点と実践が生まれている。
エイミーが《No Frills》を通して打ち出したメッセージは、「サステナビリティとファッションは両立しうる」ということだ。映画『ファッション・リイマジン』では、エイミーが妥協せずにサステナブルな製品を作り上げていく姿が描かれ、観客はその挑戦と情熱に触れることができる。
このドキュメンタリーは、現代のファッション業界が抱える環境問題と、そこに変革をもたらそうとするデザイナーの奮闘をリアルに映し出している。エイミーの姿は、今後のファッション業界におけるサステナブルな未来を示唆するものだ。

■映画『FASHION REIMAGINED/ファッション・リイマジン』作品情報
“旅する”デザイナーのファッション・ロードムービー
監督は、ロンドン・ファッション・ウィークを17シーズンに渡って取材し、ファッションやカルチャーのドキュメンタリー映画で賞も受賞しているベッキー・ハトナー。3年もの間、エイミーに密着し、ウルグアイやペルー、オーストリアといった国へ一緒に飛び、カメラを回し、コレクション完成までの道のりを旅感溢れるロードムービーとして完成。観客を、地球の今を知る驚きと発見に満ちた旅へと誘う。

【キャスト】
エイミー・パウニー
Mother of Pearlクリエイティブ・ディレクター
1985年生まれ。10歳の頃から、イギリス、ランカシャーの田舎にあるオフグリッド(電気やガスなどのインフラがない状態)の農場で、妹と両親とともに育つ。
2002年、キングストン大学に入学し、ファッション・デザインを専攻。
2006年、大学を卒業し、《Mother of Pearl》にアシスタントとして入社。その後、スタジオ・マネージャーに昇進し、2015年にクリエイティブ・ディレクターに就任する。
2017年、英国最優秀新人デザイナーに選ばれ、その賞金でサスティナブルなコレクションを発表。それらはNet-a-Porter、ハロッズ、サックス・フィフス・アベニュー、ニーマン・マーカスで販売され、エイミーは英国最大の百貨店ジョン・ルイスのサステイナブル・コレクションやホームウェアのデザインも手がけている。
さらに、BBC Earthやチャールズ皇太子とサステナブル・プロジェクトでのコラボレーションのほか、英国VOGUEで「Ask Amy」のコラムを執筆中。

クロエ・マークス
Mother of Pearl商品開発担当
19歳からファッション業界で様々な経験を積み、現在は《Mother of Pearl》の商品開発担当として、エイミーの最も身近な存在として辣腕を振るう。
原材料から製造過程までを管理し、経由する国を最小限にしようとするエイミーの理想を実現するために、ネット検索でビジネスパートナーを探し、エイミーと一緒に地球の裏側にも足を運ぶ。

ペドロ・オテギ
ラナス・トリニダード責任者
ウルグアイで、高品質な天然ウールを生産するラナス・トリニダード社の責任者。
広大な敷地で飼育され、動物福祉に反するミュールシングを施さない羊からは最高品質のウールがとれる。工場で使う水は雨水、処理水は発電に利用するなど、その循環システムに、エイミーたちは全幅の信頼を寄せる。

【監督:プロデューサー】
ベッキー・ハトナー
カナダ、トロント出身。ダック・プロダクションズでファッションやカルチャーの短編映画の制作に携わり、ナショナル・ギャラリーのためにアートにおけるジェンダー・ギャップをテーマにしたシリーズ「Painting Her Story(原題)」などを制作。また、ロンドン・ファッション・ウィークの公式取材を17シーズンにわたって担当している。
長編映画デビュー作となる本作は、トライベッカ映画祭に正式出品され、バンクーバー国際映画祭では最もポピュラーな環境映画賞を受賞したほか、グアム国際映画祭においても最優秀ドキュメンタリー映画賞、ベスト・フェスティバル賞などを受賞。

■《Mother of Pearl》について
《Mother of Pearl》は、現代アーティスト、ダミアン・ハーストの妻だったマイア・ノーマンによって2002年に設立。パーソンズ美術大学パリ分校出身のマイアは、そのコネクションを生かし、シーズン毎に様々なアーティストとコラボレーションしたコレクションを展開。フレッド・トマセリやキース・タイソンといったトップアーティストと組んで人気を博す。
2015年、エイミー・パウニーがクリエイティブ・ディレクターに就任。
2019年、《No Frills》を発表してからは、サステナビリティをテーマに様々な団体や企業とコラボレーション。その中には、チャールズ皇太子(当時)がサポートしているキャンペーン・フォー・ウールや、BBC Earthなどもある。

~ファッション業界にまつわる衝撃の現実~
・1980年代と比較して、人々は3倍以上の服を購入。
・毎年、千億もの服が作られ、その5分の3が、購入した年に捨てられる。
・ファッション業界を国に例えると、その二酸化炭素排出量は、中国、アメリカに次いで世界第3位。
地球上で最も環境に悪い産業の一つとされるファッション業界も、《Mother of Pearl》のようなラグジュアリー・ブランドが変わることによって、業界全体の変化が加速している!

映画『ファッション・リイマジン』
上映期間:2023年11月15日〜11月21日
会場:キネカ大森
https://ttcg.jp/cineka_omori/

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