「日本一の星空」として知られる長野県阿智村のグランピング施設「mökki STARDUST GLAMPING achi village」に、岐阜県産材をふんだんに使用した2棟の新ヴィラが完成した。美しい夜空を眺めながら木の香りと温もりに包まれる宿泊体験は、サステナブルな建築の実践例としても注目されている。

外観イメージ<新設の木造ヴィラ>

“見て・触れて・泊まる”、木材ショールームとしての次世代ヴィラ。

長野県阿智村は、環境省の全国星空継続観察で「日本一星が輝いて見える場所」に認定された地。そんな場所に誕生したグランピング施設「mökki STARDUST GLAMPING achi village」は、近年、国内外からの観光客に支持され、年間稼働率はおよそ90%。この人気施設に新たに加わったのが、岐阜県産材を活用した2棟の木造プライベートヴィラだ。
延床面積218.81㎡の2階建てヴィラは、ファミリー層やカップルなど幅広い層の宿泊を見込んで、年間約2,300人程度の利用を想定。建物の構造材には、岐阜県産の正角材を用いた「重ね梁BP材」を採用し、地元の製材工場による安定供給を実現しているほか、杉板による斜め板張り工法を床構造に応用するなど、伝統と革新を融合させた意欲的な木造建築だ。

この施設の特徴は、単なる宿泊の場としてだけでなく、“木材を体験するショールーム”としての役割を持っている点にある。構造材に採用された岐阜県産材以外にも、内装材の85%以上も同県産の「ぎふ証明材」を使用。梁や柱はあえて露出させ、木の質感と構造美を宿泊者にそのまま届ける設計がなされている。屋内に立ち入ると、桧や杉の香りに満たされ、五感で木材の魅力を感じ取ることができる。
また建材として用いられた重ね材は、大断面化と意匠性を両立。さらに湿式・乾式両方式に対応可能な工法が採用されており、湿式工法は国の大臣認定を取得、乾式工法も現在実証段階にあり、今後の木造建築における新たなスタンダードとして期待が高まっている。
この2棟の木造プライベートヴィラは、岐阜県が推進する「ぎふ県産材利用促進施設等整備事業」による支援対象として採択され、県内の製材事業者や施工業者と密に連携しながら進められた“オール岐阜”体制の成果でもある。
日本一の星空の下で輝くサステナブルな木の空間に、自然、建築、観光、地域振興という複数の文脈が交差している。

エントランス外観

ホームページはこちら
mokki YouTubeチャンネル