東京大学を中心とした研究チームが、藻類から取り出した光合成活性を持つ葉緑体をハムスターの培養細胞に移植することに成功。この技術は、動物細胞に光合成能力を付与する可能性を秘めており、2024年10月31日には国際科学雑誌に成果が発表された。
光合成活性のある葉緑体を持つ動物細胞の作製
※東京大学プレスリリースより
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/11214.html
新たな細胞培養技術の突破口
光合成は植物や藻類に特有のプロセスだが、今回の研究では、藻類から抽出した葉緑体をハムスターの培養細胞に移植し、少なくとも2日間にわたって光合成活性を維持できることが確認された。この技術は、従来の方法に依存せず、動物細胞内に葉緑体を導入する新しいアプローチだ。
この革新的な葉緑体移植法により、光合成を行う動物細胞の実現が期待されている。具体的には、この技術を用いて動物細胞が酸素を生成し、二酸化炭素の排出を削減することが可能となる。光によるクリーンエネルギーを利用することで、細胞培養のコスト削減や環境負荷の低減が見込まれている。
本研究は、JST CRESTの支援を受けて実施され、国際的な研究コミュニティに新たな視点を提供。今後、光合成可能な動物細胞の開発は、持続可能な生物資源の利用に向けた重要なステップとなることが期待されている。
藻類から移植された葉緑体を持つハムスター培養細胞(CHO細胞)
青緑は細胞核、黄緑は膜構造を持った細胞内小器官、赤紫は葉緑体を示す。中央の青い細胞核近傍や細胞質に2個から6個の赤紫色の葉緑体が存在していることが分かる。葉緑体中央部分は青い葉緑体DNAも観察される。
※東京大学プレスリリースより
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/11214.html