iPhoneやAppleWatchを使ってドアの施錠・解錠が行える「スマートロックU200」
★ここが重要!

★要点
分断されてきたスマートホームを“標準”で束ねる。AqaraはMatter×Thread対応の最新ハブを核に、既存のZigbee機器も橋渡し。mmWaveプレゼンスセンサーやレトロフィット型スイッチで、家族全員が迷わず使える住環境を実装する。
★背景
高齢化・電力逼迫・人手不足。省エネと見守りを同時に満たす住まいのDXが急務だが、アプリ乱立と規格の壁が普及のブレーキだった。鍵は相互運用性と“手触りのある操作”。標準化とレトロフィットの両輪で、既存住宅を賢くする局面に入った。

スマートホームが“わかる人の趣味”を抜け出す条件は三つ——つながること、勝手に動くこと、触って直感的であること。Aqaraの答えは、Matter×Threadを軸にした接続の標準化と、在室を精密に捉えるmmWaveセンサー、そして家の“スイッチ文化”を活かすレトロフィットだ。目的はシンプル。子どもも高齢者も、説明なしで使える住まい。

鍵は互換性——Matter×Thread×Zigbeeを一つに。

スマートホームの最大の障壁は“つながらない”こと。Aqaraは最新ハブでMatterとThreadに対応し、自社のZigbeeデバイス群もMatter経由で主要プラットフォームに露出させる。新旧規格の橋渡しで、買い増しの自由度が上がる。住まいの分断をなくす設計思想。
機器追加の流れも軽い。センサーを置く、電源を入れる、ハブがThreadメッシュに登録、シーンに紐づける——数分で自動化が走る。標準のうまみを、初期設定の短さで実感させる。

Apple HomeやMatterとの連携により、全ての設備を一元的に操作・管理できる、スマートホームシステムを紹介

“いる・いない”を正しく測る——mmWaveでムダ点灯ゼロへ。

人感センサーの弱点は“止まっていると検知できない”こと。AqaraのmmWaveプレゼンスセンサーは在室を連続的に把握し、ゾーンごとの自動化に落とし込む。着座・就寝・離席など生活の動きを捉えるから、照明・空調・給湯の無駄を機械的に削る。
結果は電気代だけに出ない。夜間の転倒リスクを照度で抑える、子ども部屋の就寝を静かに促す、在宅勤務中はエアコンを“人のいる半分の部屋”に限定する。省エネとウェルビーイングの同時達成。

「指を3本立てる」といった動作をすることで操作ができる照明機器

レトロフィットで広げる——日本のスイッチ文化を活かす。

賃貸・既築が大半の日本では、“壁を壊さない”ことが普及の条件だ。Aqaraは既存の壁スイッチやカーテン、鍵をスマート化する後付けデバイスを拡充。アプリ操作は裏方に下げ、普段の操作はこれまで通り“押す・回す・引く”。UIを変えないから家族に優しい。
赤外線ブリッジで古い家電も取り込み、音声やオートメーションから一括制御する。買い替え前提にしない設計は、家計にも環境にも効く。

家族仕様の“操作設計”——アプリに閉じない。

スマートホームの操作はアプリだけではない。Aqaraはワイヤレスキーパッド、シーンボタン、NFCタグなど“触れるUI”を並べる。役割は明快——来客時は「一発で全部明るく」、就寝前は「家全体の消灯と施錠」。音声・物理・自動の三層を用意し、誰にとっても“迷わない家”をつくる。
プライバシーにも配慮する。玄関カメラや室内カメラはローカルAI処理と物理シャッターで“見られたくない”時間を守る。便利と安心の同居。

普及局面のスマートホーム——標準が事業と暮らしを変える。

エネルギー高騰が常態化し、在宅ケア需要も増える。Matterで参加者が増えれば、家電メーカー・住宅事業者・保険・見守りサービスが同じ土台に立てる。Aqaraのような“橋渡し役”の存在は、住まいのサービス化を一段押し上げるだろう。
普及の行方は、丁寧なレトロフィットと、現場の体験設計にかかっている。標準だけでは家は回らない。家族が迷わず使える“段取り”こそ、最後の一押しだ。

Maintainable®︎NEWS EYE
スマートホーム×街の物流・駐車の連携が次の現場だ
◎宅配の再配達削減やキャッシュレス駐車場など、住まいの外側のDXが一気に加速している。スマートロックや入退館と連動する「置き配」、EV充電と連動する駐車場運用——家の中の自動化が“街のAPI”とつながることで、生活コストと環境負荷はさらに落ちる。標準の波に乗り、自治体・管理組合・事業者が“家—建物—街”のデータ接点を整えること。スマートホームは単体プロダクトではなく、都市OSの末端ノードとして育てたい。

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取材・撮影 柴野 聰

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