大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:芳井敬一)が実施した在来種を採用した都市緑化活動が、未実施の場合と比較して、生物多様性保全に約3倍の効果があることが確認された。

在来種50%以上の緑化活動は、緑化を行わなかった場合の約3倍の生物多様性保全効果

2022年12月に行われたCOP15では、生物多様性の保全と再生を目指す「ネイチャーポジティブ」という国際目標が採択された。これを受けて、大和ハウスは生物多様性ビッグデータの分析を行う株式会社シンク・ネイチャーと連携し、都市部での緑化活動の生物多様性保全効果を定量的に評価してきた。評価の結果、在来種を50%以上採用した緑化活動が、緑化を行わなかった場合と比較して約3倍の保全効果をもたらすことが明らかになった。
大和ハウスは、2022年から2024年にかけて実施した緑化活動を通じて、東京ドーム約9個分に相当する46.4万㎡の緑被面積を創出。この緑化活動は、在来種を50%以上採用することを前提とし、地域の生態系に配慮している。これにより、都市部での生物多様性が保全されるだけでなく、再生も促進された。
今回の検証では、シンクネイチャーが保有する生物多様性ビッグデータと空間解析技術が活用された。対象となったのは、2022年から2024年にかけて首都圏の1都3県で実施された286件の緑化プロジェクト。これらのプロジェクトは、在来種50%以上の植栽を行ったものとそうでないものに分類され、生態系の豊かさや希少性を基準に評価された。その結果、在来種の植栽率が高いほど、捕捉率*や再生効果**も高まることが確認された。
特に顕著な成果を上げたプロジェクトとして、「プレミスト昭島モリパークレジデンス」(東京都昭島市)が挙げられる。この物件では、在来種の植栽率が高く、さらにABINC認証を取得している。この結果、捕捉率は他の物件と比較して3倍、再生効果に至っては23倍という高い数値を記録した。
大和ハウスは、今回の評価結果を基に、2030年までに200万㎡以上の生物多様性に貢献する緑被地を創出する目標を掲げている。また、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する「指標と目標」にも対応し、最新の科学的知見を取り入れた取り組みを継続する方針だ。
今回の取り組みを通じて、都市環境における生物多様性の重要性が改めて浮き彫りとなった。大和ハウスは今後も、在来種を活用した緑化活動を推進し、持続可能な社会の実現に向けて邁進していく。
*物件周辺5km以内に生息するすべての樹木・鳥類・チョウ類種のうち、植栽した樹種の割合、あるいは植栽した樹種を利用する鳥類・チョウ類種の割合を計測したもの
**物件周辺1km内に生息する、樹木・鳥類・チョウ類種数と個体数の増減度合いを計測したもの。


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