富士吉田市は、自動運転レベル4の社会実装を目指し、自動運転EVバス実証実験を進化させている。2025年1月末から開始予定の「富士みち循環ルート」では、地域の生活と観光の両面での利便性向上を追求しつつ、持続可能なまちづくりと脱炭素化の実現を目指す。
富士山のオーバーツーリズム対策と脱炭素化。
生活・観光路線の進化がもたらす地域社会への波及効果
2023年度の実証結果を踏まえ、富士吉田市は「富士みち」を中心とした新たな循環型ルートの運行を計画している。今回の「富士みち循環ルート」は、商店街、富士山駅、世界遺産構成資産に加え、市役所や学校といった生活・公共施設を結ぶ全長約7kmの拡張ルートだ。これにより、地域住民の日常的な移動手段としての利便性が向上するだけでなく、訪日観光客にとっても二次交通手段としての価値を高めることが期待されている。
特筆すべきは、新たなデジタル技術を活用した「路車協調システム」や「信号協調システム」の導入だ。この技術は、車両と路側機が連携して交差点の安全性を向上させるもので、自動運転バスの走行安全性の向上が見込まれている。また、乗車予約プラットフォーム「SEKITORI」を活用し、事前予約制の導入により運行効率を高める試みも行われる。
この実証実験では、自動運転レベル2での運行を通じて、技術面、経営面、社会的受容性を検証する。最終的には、2025年度における自動運転レベル4の社会実装を目指す。2025年1月末からの一般運行は、市民や観光客が新たなモビリティ体験を通じて、富士吉田市の未来像を体感する機会となるだろう。地域公共交通におけるこの実験は、新たなモデルケースとして全国への波及が期待される。
実証運行の概要
■運行車両:TIER Ⅳ Minibus ティアフォーミニバス(BYD J6)
■運行速度:35km/h以下
■乗車定員:16人(オペレーター1人含む)
■運行体制:乗務員1人、遠隔監視員1人
【富士みち循環ルート】
一般運行期間:2025年1月末~2月予定
運行区間:富士みちを中心とした富士吉田市内を循環するルート
全長約7㎞
運行本数:1日6便
乗降場所:19カ所
乗車運賃:無料(乗車後のアンケート回答必須)
乗車方法:「SEKITORI」による事前予約制
※運行期間やダイヤ、乗車方法など詳細は決まり次第公式サイトでお知らせします。