
★要点
東京ビッグサイトで2月12〜13日に開かれる「WOODコレクション(モクコレ)2026」は、過去最大級の約320事業者が集結し、木材を“建材”から“産業OS”へ押し上げる最前線(宇宙・DX・体験)を提示する。
★背景
脱炭素の議論が「省エネ」から「素材・調達・循環」へ移るいま、木は“使うほど良い”素材ではない。森の手入れ、人手不足、災害、トレーサビリティまで含めて設計し直せるかが、国産木材の勝負所だ。
木は、古い素材ではない。むしろ新しい。都市の建築、暮らしの道具、そして「宇宙」まで射程に入れ、国産木材を次の産業へ接続しようとする展示商談会が動き出す。10回目を迎える「WOODコレクション(モクコレ)2026」だ。会場は東京ビッグサイト。五感で触れて、データで見て、仕組みで回す。木材の価値を“情緒”で終わらせないための、現場の総力戦だ。
10回目の節目は「規模」ではなく「射程」。建材の展示会から産業の実験場へ
モクコレ2026は、39都道府県から約320事業者が出展する。テーマは「国産木材が切り拓くミライの産業・社会・暮らし」。聞き慣れたフレーズに見えて、今回の特徴は“木の置き場所”が変わっている点だ。
建築・建材、家具、日用品に加え、キーワードは「宇宙」と「DX」。木材を「温かい」「癒やし」といった感性の領域に閉じ込めず、テクノロジーや新市場と接続していく。木を、素材からプラットフォームへ。そんな意思が展示設計の中に透けて見える。
「1本の丸太」にIDが付く時代。林業DXは“善意”を“信頼”に変える
サステナブルが難しいのは、正しさが伝わりにくいからだ。国産材を使ったとして、それがどこから来て、どんな手入れの結果なのか。現場の努力は、購入者の目には見えにくい。
そこで効いてくるのがDXだ。伐採の背景や流通の履歴を可視化し、消費者や発注者が“確かめられる”状態にする。サステナビリティの本質は、理念の強さではなく検証可能性だ。トレーサビリティは、森と都市を結ぶ共通言語になり得る。
そしてこれは「環境」だけの話ではない。現場の人手不足、担い手の高齢化が進むほど、作業の省力化と情報の標準化は産業の生存条件になる。木を使う社会は、森を“見える産業”にできるかどうかで決まる。
木製人工衛星は“話題”では終わらない。素材の常識を揺さぶる「木×宇宙」
会場の目玉の一つが、国産木材×宇宙の展示だ。木製人工衛星「LignoSat」の実証を通じ、金属やプラスチックにはない特性を再発見する。この打ち出しは派手だが、狙いは地に足がついている。
新素材が生まれる瞬間は、既存素材の“当たり前”が崩れる瞬間でもある。木は燃える、湿気に弱い、精度が出にくい。そうした固定観念を、設計や加工、コーティング、運用条件でどう乗り越えるか。宇宙は極限環境だからこそ、素材の評価軸が研ぎ澄まされる。
結果として、建築やプロダクトへのフィードバックが起きる。「宇宙向けに鍛えた木」が、地上の耐久性や軽量化、加工性の更新につながる。宇宙は遠い。だが、素材開発の近道でもある。

触って、動いて、整う。“木の体験”はウェルビーイングの入口になる
木材の普及は、スペックだけでは進まない。最後に人を動かすのは体感だ。モクコレ2026は、端材や枝葉でのものづくり、木製遊具や健康器具、ヒノキのおが粉の足湯ゾーンやウッドアロマなど、「創・動・静」を掲げた体験型展示を用意するという。
ここで重要なのは、体験が単なる集客策にとどまらないことだ。木の価値は、炭素固定や代替素材としての合理性に加えて、「触れた瞬間に分かる快適さ」がある。職場や公共空間で木質化が進む背景には、心理的な心地よさ、滞在の質、学習や回復の環境設計といった論点が重なっている。
木は、環境対策の素材であると同時に、暮らしの設計素材でもある。その二重性を一度に見せられるかどうか。体験展示は、その試金石だ。

隈研吾トークが象徴するもの。都市の未来を「木で語る」段階に入った
国産木材活用の発信拠点「MOCTION」開所5周年のトークセッションに、隈研吾氏が登壇する。木造建築の第一人者が「木材が創る都市の未来」を語る場を、展示会の柱に据える。ここにメッセージがある。
木は“例外的に使う素材”から、“都市の標準を組み替える素材”へ移りつつある。都市はコンクリートと鉄でできてきた。だが気候危機と資源制約の時代、素材の選び方は都市の思想そのものになる。木をどう使うかは、都市をどう更新するかの別名だ。
モクコレ2026は、その議論を「設計者だけの話」から「産業と生活者の話」へ引き下ろせるか。10回目の節目が問うのは、そこだろう。

あわせて読みたい記事

【木築情報モクショナリー】大成建設が提示する「ビルモク」時代の構想とは?

新しい林業スタイル「自伐型林業」ってナニ?
