双日株式会社、Carbon Xtract株式会社、清水建設株式会社の3社は、大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収・活用する「m-DAC®技術」を都市に実装するプロジェクトを共同提案し、東京都の支援事業に採択された。この技術は、CO2を都市内で回収し、循環利用する新しい都市づくりを目指している。
分散型のCO2回収システムで都市をカーボンニュートラルへ。
新たな共創の場「温故創新の森 NOVARE」が示す未来の社会像
2050年のカーボンニュートラルを目指し、CO2を大気中から除去するネガティブエミッション技術が注目されている。今回採択された「m-DAC®技術」は、Carbon Xtractが開発したガス分離膜技術を活用し、建築物内に小型で分散設置が可能なCO2回収装置を提供する点が特徴。この技術は、大規模な設備を必要とせず、都市のあらゆる場所でCO2を効率的に回収できる可能性を秘めている。
そしてこの先進技術m-DAC®が、今年度から2028年に渡って清水建設のイノベーション拠点「温故創新の森 NOVARE」に設置される。まずは、回収したCO2を植物栽培プラントで活用し、植物の成長を促進するための実証実験を開始する予定だ。さらに、CO2を固定化したコンクリートや炭酸水の生成など、様々な用途での活用も視野に入れて検討が進められている。
「温故創新の森 NOVARE」は、清水建設がDX推進を目指し、新しいイノベーション創出の場として設立した拠点。この施設は、未来を見据えた建築と環境に優しい技術を組み合わせ、持続可能な都市モデルの創出を目指している。NOVAREでは、エコシステムの構築に加え、次世代に向けた多様な働き方の提案も行われており、例えば各所に移動可能な机や椅子を配した「ノーアドレス」オフィス環境や、個々の好みに応じて空調を調整する「ピクセルフロー」技術も導入されている。こうした先進的な技術は、50年後、100年後の未来社会に向けた「バックキャスティング」の手法で構想されており、建物が人と共に成長する環境を実現しようとする意図によるものだ。
今回の二酸化炭素直接回収「m-DAC®技術」導入によって、将来的には同技術を都市の多様な場所に設置し、CO2を直接回収して循環利用し、都市全体を持続可能なエコシステムとして機能させることを目指す。清水建設が描く未来社会のビジョンと今回の共同3社のプロジェクト推進によって、都市のCO2削減と循環型社会が一日も早く実現することに期待したい。