株式会社ワーキングハセガワは、サステナブル医療ウェアブランド「sukui」において、製品の環境情報を可視化する「デジタル製品パスポート(DPP)」を日本で初めて実装した。ブロックチェーン技術を活用し、製品がCO2を吸収する“カーボンネガティブ”を実現。衣類の「履歴書」を誰もが追跡できるこの仕組みは、循環型社会に向けた新たな基準を提示する。

スマホで読み取る、服の“全履歴”。

EUで制度化が進むDPPは、製品の原材料から製造、廃棄までの全情報を記録・開示する仕組み。「sukui」では、製品に付与されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、誰でもその服の「来歴」を確認できる。具体的にはCO₂排出・吸収量やサプライチェーンの情報が3言語で表示され、高い透明性を確保。情報開示の信頼性が特に求められる医療現場において、環境配慮の取り組みを具体的に示す画期的なアプローチといえる。

CO2排出量を上回る、驚きの吸収力。

また「sukui」の医療ウェアは、ライフサイクルアセスメント(LCA)に基づき、製品ごとのCO₂排出量を厳密に算出している。さらに注目すべきは、主要素材であるヘンプが栽培段階で吸収するCO₂の量だ。その吸収量は排出量を大きく上回り、製品単体でCO₂を削減する“カーボンネガティブ”を達成する。例えば、トップス1枚で約6.3kg、パンツ1本で約8.9kgのCO₂を削減する計算。これは「環境に負荷をかけない」というレベルを超え、積極的に環境へ貢献する新しい価値を持つ。

製品ごとのCO₂排出量・吸収量をLCAに基づいて表示。“カーボンネガティブ”を実現

福岡発の技術が支える、世界基準の循環型モデル。

今回のDPP実装に際して、システムの信頼性を支えるのは、福岡のIT企業chaintopeが開発したブロックチェーン基盤「Tapyrus」。改ざんが困難なブロックチェーンに重要情報を記録することで、データの信頼性を担保する。この仕組みは、EUの先進事例とも共通する国際整合性のある構成だ。「sukui」は設計段階から修理や回収、最終的な堆肥化までを想定したサーキュラーモデルを構築しており、今回のDPP実装は、地方発の技術がアジアのサプライチェーンと連携し、世界基準のサステナビリティを実現する挑戦となる。

信頼性が求められる情報はブロックチェーンに記録、それ以外はデータベースで管理するハイブリッド構成
高機能・高品質なヘンプ素材と、サーキュラーエコノミーに対応した製品設計
DPPラベル付き「sukui」医療ウェアセット(トップス・パンツ)。

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