
★要点
2026年7月15日、熊本城ホール。27カ国・地域から関係者が集まった「グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026」が、「熊本宣言」を採択して閉幕した。宣言への賛同は85、うち41が企業・金融機関にのぼる。閉会式で語られたのは、達成度の自賛ではなかった。生物多様性条約事務局長は「2030年目標の軌道には乗っていない」と率直に認め、そのうえで企業の大量参加を「最も信じられない2日間」と評した。元ユニリーバCEOのポール・ポルマン氏は、紹介された実践例が慈善ではなく組織の強化につながっていた点を評価した。地元・肥後銀行は、自然資本の保全と経済成長は相反しないと語った。そして次回サミットの開催地は、インド・アンドラプラデシュ州。次へのバトンが、熊本宣言とともにインドへ渡された。
★背景
このサミットは、2022年に196カ国が合意した昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の実施を加速させることを目的とする国際会議で、2024年10月にオーストラリア・シドニーで開かれた第1回を引き継ぐ第2回にあたる。2026年10月にはアルメニア・エレバンで生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)が開かれ、各国政府はGBFの進捗を評価する。つまり熊本は、国際交渉の直前に置かれた「民間の助走路」だった。政府だけでは自然は回復しない。原材料を調達し、土地を使い、水を使い、資金を動かしているのは企業と金融である。彼らが測り、開示し、投資判断を変えなければ、目標は紙のままで終わる。閉会式は、その現実を突きつける場でもあった。
黒いスーツの中に、赤い顔が混ざった。
くまモンである。
熊本のマスコットが、閉会式のステージに上がってきた。
会場が沸く。写真を撮る手が一斉に上がる。
2日間、自然資本の測定や情報開示やミティゲーションヒエラルキーを議論してきた国際会議の最後に、ゆるキャラが登場する。
ネイチャーポジティブ・イニシアティブ主宰のマルコ・ランベルティーニ氏が、くまモンをかたどった小さなバトンを手に取る。
そこには「熊本宣言」が携えられていた。
受け取ったのは、インド・アンドラプラデシュ州の代表、サティア・トリパティ氏。
2027年、第3回サミットはインドで開かれる。
2026年7月14日と15日、熊本城ホール。27カ国・地域から関係者が集まった「グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026」が閉幕した。
祝祭の空気のなかで、しかし壇上から繰り返し聞こえたのは、厳しい現状認識だった。
私たちは、まだ軌道に乗っていない。
2,725人。その3分の2が、企業と金融機関だった
まず、数字から見ておきたい。
サミットマネージャーを務めた日経BP ESGフェローの藤田香氏(東北大学グリーン未来創造機構・大学院生命科学研究科 教授)が、閉会セッションの司会として登壇し、参加状況を報告した。
会期中の参加者は2,725名。併催された展示会「NATURE TECH!」には14,000名が来場した。
藤田氏によれば、入退場を含めた累積では約5,000人規模になるという。
ネイチャーポジティブ・イニシアティブ主宰のマルコ・ランベルティーニ氏は、登録が約3,000件、実際に来場してバッジを受け取った参加者が2,800人だったと述べ、自然をテーマとする会議としては史上最大級であり、なかでも民間セクターの参加比率は史上最高だったと報告した。
そして最も重要な数字がこれだ。
参加者の3分の2が、企業と金融機関。
自然保護の国際会議といえば、かつては環境NGOと研究者と行政の場だった。
そこに企業が来るとしても、CSR部門の担当者が数人、というのが相場だっただろう。
だが熊本には、CEOやCSO(最高サステナビリティ責任者)が並んだ。
藤田氏は、多くの経営層がネイチャーポジティブへのコミットメントを表明し、自社の事例を紹介したことを成果として挙げた。
参加者の構成が変われば、議論の質も変わる。
「守るべきか」ではなく、「どう測り、どう組み込むか」が焦点になる。
熊本の2日間は、その転換をはっきり示していた。

「慈善だからではない」——ポール・ポルマン氏が見たもの
パネルの最初に立ったのは、ネットポジティブのポール・ポルマン氏。ユニリーバの元CEOであり、著書『Net Positive』で知られる。
ポルマン氏の評価は、参加者数ではなく、その中身に向けられていた。
紹介された実践例の多くは、慈善活動として、あるいは気分の良さのために行われていたのではない。組織そのものを強くするために行われていた——。そう指摘したうえで、ポルマン氏は具体的に列挙した。
資本配分。調達の判断。リスク評価。保険。そして取締役会での議論。
自然をこれらの中核に組み込んだ企業は、価値創造を含む明確なプラスの効果を得ている。
ネイチャーポジティブとは、「あればいい話」ではなく、経営の意思決定そのものに入れる話だというのが、氏の一貫した主張だった。
日本の状況についても言及があった。
日本ではすでに240社がTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)に賛同している。
自動車、飲料、商社、航空、銀行。名だたる企業が会場にいた。
これだけの層があれば、境界線を動かせる。政府からリスクを引き受け、政策を前に進めることもできる。単独ではできないことを、連合を組めばできる。
そのうえでポルマン氏は、熊本宣言を「かなり野心的」と評し、こう続けた。
宣言の原則に沿って生きるだけでなく、外側の環境そのものを形づくる側に回ってほしい、と。
最初の機会が、10月のアルメニアである。
COP17の場で、民間セクターの声を明確に届けること。それが熊本からの宿題だと氏は語った。
外の世界が自分たちを待っていると思うのは楽観がすぎる。まだ多くの人が傍観席にいる——。
その現実認識は、祝祭の空気のなかで一段と重く響いた。
地下水が支えているのは、暮らしと農業と、半導体
続いて登壇したのが、地元・肥後銀行の代表取締役副頭取 髙本芳郎氏である。
冒頭に置かれたのは、明快な一文だった。
自然資本の保全と経済成長は、決して相反するものではない。
そして熊本という土地の具体性が語られる。
豊かな地下水は、県民の暮らしを支える。農業を支え、食品製造業を支え、観光業を支える。
そして——半導体関連産業を支える。
この一語が入るところに、熊本の現在がある。
半導体工場は大量の水を使う。地域経済にとって歓迎すべき進出であると同時に、地下水という自然資本への負荷でもある。
開会式でも大西一史 熊本市長が、自然開発や地球温暖化、外来種の増加に加え、近年の半導体関連企業の進出に伴う地下水への影響を挙げ、自然環境と経済活動の調和が課題になっていると説明していた。
きれいごとではない。競合する利害が、同じ水源の上に乗っている。
だからこそ髙本氏は、自然資本への投資は「未来の地域経済への投資」だと述べた。
環境の問題ではなく、事業の継続性と地域の競争力の問題である、と。
そして民間セクターが果たすべき役割を三つ挙げた。
一つ、自社の事業と自然の関係を把握し、保全を経営戦略と具体的な事業活動へ組み込むこと。
二つ、行政、地域住民、大学、研究機関、金融機関が、組織や地域の垣根を越えて連携すること。
三つ、取り組みの価値を可視化すること。
とりわけ二つ目について、髙本氏は水と森林を例に挙げた。
これらは行政区域で分けられるものではない。流域全体を一つの自然資本として捉える必要がある——。
前日の分科会で瀬戸内海をめぐって語られた「県境や営業区域では自然を分けられない」という論点が、ここでも繰り返されたことになる。
地域金融機関の役割は、企業と自治体をつなぎ、地域の課題を具体的な事業に翻訳し、資金面から実行を支えること。
肥後銀行は40年以上にわたり「水と緑の愛銀基金」を通じて阿蘇草原の保全や棚田の再生、地下水涵養に関する取り組みを続けてきた。里山の再生にも着手している。
そして本年4月、地元の大学や自治体と連携して「熊本ウォーターポジティブデザインセンター」を設立した。
グリーンインフラが生み出すインパクトを評価する、価値の可視化に取り組んでいるという。
「本サミットの閉会は、ネイチャーポジティブの実践の始まりです」
髙本氏は、そう締めくくった。
「完璧は、良いことの敵である」
国際的な視点からのコメントは、生物多様性条約(CBD)事務局長のアストリッド・ショーメーカー氏から。
「最も信じられない2日間」「これ以上ないほど活力を与えられた時間」。
賛辞から入りながら、同氏はすぐに2日前の開会時に立ち戻る。
関与は増えている。しかし、2030年目標の軌道には乗っていない。
事務局長という立場で、この現実を隠さず口にする。
そのうえで、熊本で何が励みになったのかを語った。
自然には多くの友人がいる。そしてその友人たちは、もはや孤立して働いてはいない。集まり、ともに働き始めている——。
なかでも焦点は企業だった。
企業のリーダーたちが前に出て、「自然の管理者でありたい」と表明したこと。自然との相互作用、依存関係、自らの影響、直面するリスク、そして掴むべき機会を理解したいと述べたこと。
しかも透明性の精神のもとで議論が行われた。
理解したいだけでなく、開示する用意があるという姿勢である。
「複雑ではある。だが、その複雑さは管理可能だ」
ショーメーカー氏は、ネイチャーポジティブ・イニシアティブが提示する「State of Nature(自然の状態)」指標に触れ、世界が単一の物差しの周りに集まりつつあることを評価した。
どこにいるのかを理解し、どこへ行くべきかを理解する。それを可能にする一歩だ、と。
そして、この日いちばん引用されるべき一文が置かれる。
「完璧は、良いことの敵である」
十分な情報はもうある。企業には行動するだけの情報がある。
すべてを開示できないなら、どこかから始めればいい。ただし、開示のための開示ではなく、行動を変えるための開示として使ってほしい——。
開示は常に、最初の一歩にすぎない。
測ることは目的ではなく、変えるための手段である。
COP17へ——「自然への投資は、回復力への投資」
続いて、COP17アルメニア特使のムヘル・マルガリャン氏。
2026年10月、アルメニアのエレバンで国連生物多様性条約第17回締約国会議が開かれ、各国政府はGBFの進捗状況を評価する。
マルガリャン氏は、開催地・熊本の意味を丁寧に拾い上げた。
森林、農地、流域を慎重に管理することで、数十万人の飲料水を確保し、暮らしを支えている。
熊本はそのことを実証している都市だ、と。
自然への投資は、回復力への投資であり、福祉への投資であり、長期的な繁栄への投資でもある。
そしてサミットの構成についても評価が及んだ。
議論は「なぜ自然が重要か」にとどまらず、「志をどうビジネスと金融へ翻訳するか」に重心を移していた。測定、開示、資金、イノベーション、再生、そしてセクターを越えた協働。
COP17の数カ月前に、これほど幅広いステークホルダーが一堂に会したこと自体が、交渉への貢献になる。
アルメニアは、政府とステークホルダーが協働できる包摂的な場を用意する——。
熊本は終点ではない。エレバンへ向かう途中の一区間である。
その位置づけが、閉会式では繰り返し確認された。
熊本宣言には、何が書かれたのか
そして、宣言の発表。
マルコ・ランベルティーニ氏が要点を読み上げた。骨子は、おおむね次の通りである。
まず、昆明・モントリオール生物多様性枠組の2050年ビジョンと2030年ミッションを支持すること。
2026年2月に発表されたIPBES(生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)の『ビジネスと生物多様性評価報告書』の重要性を認識すること。
日本政府の「生物多様性国家戦略2023-2030:ネイチャーポジティブ実現に向けたロードマップ」および「ネイチャーポジティブ経済移行戦略~自然資本に立脚した企業価値の創造~」を歓迎すること。
そして、企業への具体的な要請。
生態系への悪影響を、まず回避し、最小化する。次に、劣化した陸域および海域の回復と再生に寄与する。最終的に、回避できない影響を代償するとともに、高水準の十全性確保措置を講じる。
この「ミティゲーションヒエラルキー」の適用を、すべての企業に求めること。
順序が明記されているのが肝である。
いきなり代償(オフセット)から入るのではない。まず避ける。次に減らす。それでも残ったものを、最後に埋め合わせる。
この順番を守らなければ、クレジットを買うだけで自然を壊し続けることが可能になってしまう。
さらに宣言は、自然への依存とインパクトを測定するための、科学的根拠に基づく実用的かつ標準的な指標や手法について連携し、企業の行動を加速させることを掲げている。
ランベルティーニ氏は、自然資本という概念を人類の社会経済的発展に不可欠な要素として位置づけたこと、そして「公正な移行(Just Transition)」——最も脆弱な人々やコミュニティ、途上国経済に配慮した移行——の重要性を盛り込んだことにも触れた。
「ネイチャーポジティブは、ピープルポジティブだ」
会期中、何度も繰り返された言葉である。
自然なくして人は繁栄できない。だから同じことなのだ、と。
象徴的な光景も紹介された。
この日の午前に開かれた「指標と測定」のセッションは満員で、立ち見が出るほどだったという。
かつて、測り方の議論は専門家の話題だった。
いまは、企業が最も知りたがるテーマになっている。


85の賛同、41が企業・金融——「これは宿題でもある」
賛同状況を報告したのは、国際自然保護連合(IUCN)日本委員会会長の道家哲平氏。
熊本宣言への賛同は85。うち41が企業や金融機関だった。
道家氏が強調したのは、その顔ぶれの幅である。
農林水産業のように自然と近い産業だけではない。
物流。製造業。保険。銀行。
自然との距離が遠いと思われがちな業種が、名を連ねた。
バラエティに富んだ企業が賛同したこと自体が、大きな成果だと道家氏は述べた。
残る賛同者には、環境省、国土交通省、農林水産省といった省庁のほか、市民セクター、ユース、第一次産業に関わる団体、地方自治体が含まれる。
そして、道家氏はこの数字を「宿題」と呼んだ。
IUCN日本委員会は、自然保護に関わるNGOのネットワークとして活動してきた。
だが、ユースやアカデミア、政府、環境団体のネットワークだけでは足りない。企業や金融機関を含む多くの人々と一緒にならなければ、ネイチャーポジティブな社会は実現しない——。
賛同者リストは、成果表であると同時に、これから広げるべき余白の地図でもある。
85という数字は、多いのか、少ないのか。
その評価は、次のサミットまでにどれだけ増えるかで決まるだろう。

くまモンが渡したバトン、次はインドへ
そして、次回開催地の発表。
第3回グローバル・ネイチャーポジティブ・サミットは、2027年、インドのアンドラプラデシュ州で開かれる。
ビデオメッセージが流れ、科学者、自然を愛する人々、市民社会への参加が呼びかけられた。
2026年のサミットは、次回27年のサミットをインドで開催することを明らかにして閉幕した。
ステージに上がったサティア・トリパティ氏は、国連事務次長補を務めた経歴を持つ。
トリパティ氏は熊本の運営の効率だけでなく、市民社会からビジネスリーダー、政府に至るまでの熱量を評価し、こう述べた。
日本は、自らが最も得意とすること——草の根からのサステナビリティを駆動すること——に確かに取り組んでいる、と。
シドニーから、熊本へ。
熊本から、アンドラプラデシュへ。
会議の開催地が、オーストラリア、日本、インドと移っていくこと自体に意味がある。
自然の状態も、経済の段階も、抱える課題もそれぞれ違う。同じ枠組みを、違う条件のもとで実装していく試みが続いていく。


「不易流行」——変えないために、変える
閉会の挨拶で、マルコ・ランベルティーニ氏がひとつのエピソードを紹介した。
会場で、日本の高校生たちと話をしたのだという。
彼らは、都市のなかの野生の自然について自主研究を発表していた。
その高校生たちが、氏にひとつの言葉を教えた。
不易流行。
彼らはこう説明したという。
「守るべきものを保つためには、変わらなければならない」
ランベルティーニ氏は、この言葉に強く動かされたと語った。
いま人類に起きていることを、正確に捉えているからだ、と。
守るために、変える。
自然を守りたいなら、経済の仕組みを変えなければならない。
地域を守りたいなら、産業のあり方を変えなければならない。
暮らしを守りたいなら、調達も、投資も、開示も変えなければならない。
何も変えずに守れるものは、もう多くない。
閉会式では、参加者への感謝が並んだ。
高円宮妃久子殿下。各国からの登壇者。ブラジルなど遠方から駆けつけたスピーカー。8カ月にわたり毎週の会議を重ねてきたアドバイザーグループ。舞台裏で動き続けたスタッフ。
そして、展示会やネイチャーテックを訪れた約500名の小学生と教師たち。
併催の「NATURE TECH!」には14,000名が来場した。
数百人の子どもたち、高校生、小学生が会場を歩いた。
一日の議論の主役は経営者と金融だったが、その周辺には、自然を測る技術と、それを見に来た子どもがいた。

閉会に臨み、この国際会議の成功を支え続けたスタッフたちも壇上に上がり、来場者から万雷の拍手が贈られた。
熊本の2日間が残したもの
農林水産副大臣の山下雄平氏は、ビデオメッセージでサミットの閉幕を祝し、10月のCOP17への期待を表明した。
2021年に策定された「みどりの食料システム戦略」に触れ、生産力向上と環境負荷軽減の両立に取り組んできたこと。
さらに先月、民間投資を促進して取り組みを加速するため「みどり加速化GXプラン」を策定したこと。
これに基づき、農林水産業や農山漁村が持つ豊かな自然資本を次世代へ継承しながら、地場産業の育成と地域循環経済の創出につなげていく——。
企業、自治体、金融機関、研究機関との連携を深め、投資が生まれる基盤を整えるという方針が示された。
そして来年3月、横浜で開かれる「GREEN×EXPO 2027」への展望も語られた。
自然と共生する持続可能な社会の未来を、国内外へ発信する場になる。
熊本 → COP17(アルメニア)→ グリーンエキスポ(横浜)→ 第3回サミット(インド)。
つなげていくという意思が、繰り返し表明された会だった。
司会を務めた藤田香氏も、このムーブメントをここで終わらせたくないとして、「ネイチャーテックコンソーシアム」の立ち上げを検討していることを発表した。
日経BPが中心となり、ネイチャーポジティブ・イニシアティブやIUCN日本委員会の助言を得ながら協議を進めるという。
技術は、熊本で最も来場者を集めた領域のひとつだった。
測る技術、再生する技術、可視化する技術。それらを束ねる受け皿をつくる構想である。
自然を測り、資本として認識し、事業と金融を動かし、人の暮らしとともに回復させる。
熊本の2日間で確認されたのは、この順序だった。
理念は、もう十分に共有されている。
2030年まで、あと4年余り。残された時間で問われるのは、実装の速度である。
完璧は、良いことの敵である。
守るために、変える。
閉会式で残された二つの言葉は、どちらも同じことを言っている。
待つな、動け。
そして、動くために自分たちのほうを変えろ。
くまモンのバトンは、インドへ渡った。
だが宣言に賛同した85の名前が背負ったのは、記念品ではなく、実務である。
Maintainable®︎NEWSでは、熊本宣言に賛同した企業や金融機関がこれから何を測り、何を開示し、どこに投資していくのかを、しっかり注目し続けていきたいと考えている。



参照:
GLOBAL NATURE POSITIVE SUMMIT 2026
https://events.nikkeibp.co.jp/event/2026/GNPS_jp/
https://www.naturepositive.org/events/summit/
「熊本宣言」(IUCN日本委員会)
https://www.iucn.jp/news_and_topics/news/2026/07/22/16021/
FAQ
Q. 「熊本宣言」とは何ですか?
A. グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット2026の閉会式で発表された成果文書である。昆明・モントリオール生物多様性枠組の支持、科学的知見の活用、企業への行動要請、指標の標準化、公正な移行などを柱としている。
Q. 賛同者はどれくらい集まりましたか?
A. 賛同は85で、そのうち41が企業や金融機関だった。農林水産業だけでなく、物流、製造業、保険、銀行など幅広い業種が名を連ね、省庁や自治体、市民セクター、ユース団体も加わっている。
Q. 「ミティゲーションヒエラルキー」とは何ですか?
A. 生態系への悪影響に対する対応の優先順位を定めた考え方である。まず回避し、次に最小化し、劣化した環境の回復・再生に寄与したうえで、それでも避けられない影響を最後に代償する。順序を守ることが重要とされる。
Q. なぜ「完璧は、良いことの敵」と言われたのですか?
A. 生物多様性条約事務局長のアストリッド・ショーメーカー氏の発言である。データが完璧に揃うのを待っていては間に合わない。企業にはすでに行動するだけの情報があり、開示できるところから始めるべきだという趣旨だった。
Q. サミットにはどれくらいの人が参加しましたか?
A. 会期中の参加者は2,725名。併催の展示会「NATURE TECH!」には14,000名が来場した。参加者の約3分の2が企業や金融機関で、民間セクターの参加比率は自然関連の国際会議として過去最高とされた。
Q. 熊本で開催されたことの意味は何ですか?
A. 熊本は豊かな地下水が暮らし、農業、食品製造業、観光業、そして半導体関連産業を支える都市である。自然資本と経済活動が同じ水源の上で競合する現場であり、その調和が現実の課題として問われている。
Q. 地域金融機関には、どんな役割がありますか?
A. 企業と自治体をつなぎ、地域の課題を具体的な事業へ翻訳し、資金面から実行を支える役割がある。肥後銀行は40年以上にわたる基金活動に加え、2026年4月に熊本ウォーターポジティブデザインセンターを設立している。
Q. TNFDへの賛同企業はどれくらいありますか?
A. 閉会式でポール・ポルマン氏が言及したところによれば、日本では240社がTNFDに賛同している。自然関連の情報開示に取り組む企業の層が、すでに厚く形成されつつあることを示す数字である。
Q. CBD COP17とは何ですか?
A. 2026年10月にアルメニアのエレバンで開かれる、生物多様性条約の第17回締約国会議である。各国政府が昆明・モントリオール生物多様性枠組の進捗を評価する場であり、熊本の議論はここへの助走と位置づけられた。
Q. 次回のサミットはどこで開かれますか?
A. 2027年、インドのアンドラプラデシュ州で第3回が開催される。閉会式では、熊本宣言を携えたくまモンのバトンが、インド側の代表へ手渡された。
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