日立造船株式会社社員の藤本恵美子氏が、第10回女性技術者育成功労賞を受賞した。藤本氏の受賞は、女性技術者の育成における顕著な貢献が認められたものであり、ダイバーシティ推進活動における同社の取り組みを象徴するものとして注目されている。

科学技術の世界における女性活躍と、ダイバーシティ推進を進める日立造船

藤本恵美子氏は、日立造船において熱流体工学を専門とする研究者としてキャリアを積み、同社のダイバーシティ・マネジメントの実現に向けた重要な役割を果たしてきた。職場における女性社員同士のネットワーク構築や、昇格制度の理解促進に努めた藤本氏は、管理職としても多くの女性社員のキャリア形成に貢献してきた。特に「技術開発本部 技術研究所 環境エンジニアリング研究センター」の流体グループ長として、男性多数の職場環境の中でも男女平等の意識を広める努力を続け、男性社員の育休取得率100%を達成するなど、同社のダイバーシティ推進に大きく寄与した。
藤本氏は2019年に「夢洲エリア開発推進室」に異動し、全社横断的な業務に携わりながらキャリアを広げてきた。大阪・関西万博の開催が近づく中、未来の都市パビリオンにおいて、環境・エネルギー分野の課題解決策を来場者と共に考える展示の実現に向けて、チームと共に準備を進めている。また、2020年からは「Hitz 夢を語ろうワーキング」の企画・運営を担い、将来を見据えた会社での活躍像づくりや若手社員の育成にも尽力してきた。
藤本氏の活動は社内にとどまらず、東日本大震災後には被災女性の自立を支援するボランティア団体「千寿の会」を設立。被災地のコミュニティ形成にも貢献し続けている。さらに、2020年からは大阪公立大学工学部助教として、女性技術者のキャリアデザインに関する講座を担当し、次世代のエンジニア育成にも尽力している。こうした社内外での活動やロールモデルとしての藤本氏の存在が評価され、今回の受賞に至った。
日立造船におけるダイバーシティ活動は、2005年の企業風土改革運動のキックオフ宣言に始まり、2008年の女性戦力拡大宣言を経て、2015年にはダイバーシティ推進室が設置されるなど、長い歴史がある。これにより、多様性、公平性、包摂性を意識した組織運営が推進されてきた。
日立造船は、ウェルビーイングやエンゲージメント、ワークライフバランスを意識した経営を引き続き推進し、DE&I(多様性、公平性、包摂性)の実現に向けた取り組みを加速させる意向を示している。藤本氏の受賞は、その道のりにおける一つの成果で、今後のさらなるダイバーシティ推進への期待が高まっている。

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