MSC(海洋管理協議会)は、海洋管理基金から32件のプロジェクトに新たな助成金を授与すると発表した。これにより、インド、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、ニカラグア、ペルーのプロジェクトが支援されることとなる。

持続可能な漁業の推進

2018年に設立された海洋管理基金は、これまでに140件以上のプロジェクトに対し、総額660万米ドル(約10億4300万円)を助成してきた。これらの助成金は、より健全な水産資源のための改善、慎重な漁獲管理、海洋環境の保護を目的としている。今回の助成金は、特に学生による研究に対する支援も含まれており、野生生物や生態系への影響を最小限に抑えることを目指す。これにより、MSC認証取得を目指す漁業による環境改善が期待されている。
非営利団体であるMSCは、持続可能性の規格を満たしているMSCラベル付き製品販売から、年間ラベル使用料の5%を海洋管理基金に充てている。また、第三者からの寄付や企業からの資金拠出も増加しており、世界中の持続可能な漁業の推進に貢献している。
2024年度の海洋管理基金の助成金総額は445,000英ポンドであり、9件の漁業改善プロジェクトも対象となっている。また、学生研究員への助成金としては、1件につき最大5,000英ポンドが授与される。

【プロジェクト例】
メキシコ
海洋科学学際センター ロシオ・ナエリ・アベンダニョ・ビジェダ氏
マイワシ漁業が大型の海鳥に与える影響を研究。この研究は、MSCイタリアの「サステナブル・シーフード・ウィーク2023」キャンペーンの一環として、カルフール・イタリアと水産物ブランドのDeliciusからの寄付金で助成されている。
南アフリカ
ステレンボッシュ大学 リンディウェ・マカペラ氏
ヘイクはえ縄漁業とシャチやミナミアフリカオットセイとの遭遇を調査。研究結果は、地域の他の漁業と共有され、最優良事例の推進に役立てられる。
ベルギー
ブリュッセル自由大学 ミシェル・ヴァレリ・ラニャダ氏
スリナムの漁業におけるデータ収集の改善に取り組む。スマートフォンを活用した絶滅危惧種・保護種の観察記録のデータベース構築が行われ、漁業が環境への影響を把握し緩和する取り組みに寄与する。

MSC(海洋管理協議会)は、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体。1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を置き、世界中で活動している。MSCジャパンは2007年に設立され、2022年度には日本で700品目以上のMSC「海のエコラベル」付き水産品が販売された。

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