サラヤ株式会社(大阪市)は、2025年大阪・関西万博において、ゼリ・ジャパンの「BLUE OCEAN DOME」支援を通じて、海洋保護や持続可能な社会の重要性を発信する。この活動は、ボルネオ島での環境保全や「いのちをつなぐ学校 by SARAYA」を通じた次世代への教育活動とも連携し、持続可能な未来のためのサラヤの取り組みを世界に向けて伝えるものだ。
持続可能な海洋環境を目指す、万博パビリオン「BLUE OCEAN DOME」
サラヤが支援する「BLUE OCEAN DOME」は、大阪・関西万博における象徴的な民間パビリオンとして、海洋環境への理解を深めることを目的としている。このパビリオンは、海洋プラスチック汚染防止や気候変動の理解促進を通じて、来場者に海洋保護の重要性を訴えるものだ。サラヤはここで「SARAYAウィーク」を開催し、海洋汚染対策やサステナビリティにおける同社の取り組みを展示する。
このパビリオンは、日本の竹やカーボンファイバー(CFRP)といった再利用可能な素材で構築され、環境負荷を最小限に抑えた設計が施されたものだ。移設・再利用を視野に入れたこの建築は、循環型社会を目指す象徴でもあり、来場者に持続可能な未来像を提示する場となるだろう。
■BLUE OCEAN DOME
テーマ:「海の蘇生」
敷地面積:3,503.25 ㎡
建築プロデューサー:坂茂(坂茂建築設計)
総合プロデューサー:原研哉(日本デザインセンター)
パーム油と野生生物保護の両立を目指す、ボルネオでの環境保全活動
そんなサラヤの環境保全活動は、日本国内のみならず、ボルネオ島でも長期間に渡って展開されてきた。ボルネオ島は、世界有数のパーム油生産地である一方で、急速な森林伐採により野生生物の生息地が減少し、生態系が危機に瀕している。サラヤは2004年から「ボルネオ環境保全活動」を開始し、持続可能なパーム油の生産と野生動物の保護を両立させるための活動を行っている。
特に「ボルネオ保全トラスト」と連携し、キナバタンガン川流域の熱帯雨林を買い戻し、野生動物が行き来できる「緑の回廊」の復元に取り組んできた。この活動は、オランウータンやボルネオゾウといった絶滅危惧種の保護に寄与しており、日本国内で販売される「ヤシノミ洗剤」などの売上の一部を通じて、日本の消費者もこの活動に参加できる仕組みが整っている。
さらに、サラヤは「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」認証の製品を通じて、パーム油の持続可能な調達を支援し、環境に配慮した製品作りを進めている。ボルネオ島における活動は、地元住民と環境保全の両立を目指すモデルケースとして、世界的にも注目されるものだ。
次世代に向けた環境教育プロジェクト「いのちをつなぐ学校 by SARAYA」
2022年に創業70周年を迎えたサラヤは、次世代のための教育支援プロジェクト「いのちをつなぐ学校 by SARAYA」を開始した。このプロジェクトは、感染症予防から環境保護、さらには地球の「いのち」に至るまで、さまざまなテーマで子どもたちに教育機会を提供している。校長には著名な生物学者の福岡伸一氏が就任し、彼が登場する3DCGキャラクター「フクオカハカセ」を通じて、生命科学の基本から環境問題までをわかりやすく学べる動画教材を提供している。
この活動は、ボルネオでの環境保全活動とも連携しており、ボルネオ現地を訪問して森林や野生動物保護の現場を体験する「ボルネオ学習ツアー」も実施されている。ツアーでは、希少な野生動物に触れ合い、なぜその保護が必要なのかを深く学ぶ機会が提供される。また、パーム油農園の現状を視察し、地元農家との交流を通じて、環境問題だけでなく労働問題や人権問題にも理解を深める場となっている。この教育活動を通して、環境保護や持続可能な生活について考える機会を次世代に提供し、子どもたちが将来の地球を担う一員としての意識を高めることを目指しているのだ。
サラヤの環境保全活動は、万博の「BLUE OCEAN DOME」をはじめ、ボルネオ島での野生動物保護、教育プロジェクト「いのちをつなぐ学校 by SARAYA」など、そこには一貫した生物多様性維持への思想が貫かれ、持続・循環・再生・保守可能な地球環境の在り方について、持続可能な未来の実現に向けた企業活動の模範的な例だ。環境と人間の共生を目指すサラヤの挑戦は、次世代に引き継がれるべき価値ある挑戦と言えるだろう。