★ここが重要!

★要点
山形県酒田市発の株式会社グリーンエースが、未利用野菜を高付加価値製品へ再生するアップサイクルフードブランド「upvege」をローンチ。独自の超高速乾燥粉末化技術で、形やサイズが合わない野菜の色・香り・栄養をそのままに活用し、食品ロス削減と新食文化創出を目指す。
★背景
年間472万トンに及ぶ日本の食品ロスは深刻な社会課題。一方で、サステナブルフード市場は成長を続け、環境配慮と健康志向が高まる中、未利用食品を「廃棄物」ではなく「素材」として再定義し、経済性と社会貢献を両立する循環型ビジネスモデルが求められている。

畑で規格外とされ、市場に出ることなく捨てられてきた大量の野菜たち。その“もったいない”現状に一石を投じる新ブランド「upvege(アップベジ)」が、山形県酒田市から誕生した。独自の粉末化技術を武器に、未利用野菜に新たな命を吹き込み、色も香りも栄養もそのままに、高付加価値な食品へと生まれ変わらせる。年間472万トンに及ぶ日本の食品ロス問題。この深刻な課題に対し、「upvege」は「再定義」という視点から、食の未来と文化、そしてサプライチェーンを根底から変えようとしている。

食品ロス472万トンの衝撃──「廃棄物」から「素材」への再定義。

環境省の調査によれば、2022年度の日本の食品ロスは472万トンにものぼる。このうち事業系・家庭系がそれぞれ半分を占めるという現実は、食料生産と消費のシステムが抱える根深い問題を浮き彫りにする。健康志向や環境配慮への意識が高まる中、サステナブルフード市場は年率9%で成長し、2030年には約2,976億円規模への拡大が予測されている。こうした社会背景を受け、「upvege」は「未利用食品・野菜を“廃棄物”ではなく“素材”として再定義する」という挑戦を掲げる。捨てられるはずだった農産物を「おいしさ」と「希望」に変えることで、循環型のフードサイクルを構築し、持続可能な社会への貢献を目指す。

最短5秒で粉末化──生野菜の魅力を閉じ込める独自技術。

「upvege」の核となるのは、東京農工大学やJA全農との共同研究から発展した「超高速乾燥粉末化プロセス」だ。この独自技術は、生野菜を最短5秒という驚異的なスピードで粉末化することを可能にする。一般的な加熱乾燥では失われがちな栄養、色味、香りを最小限の損失で保持できるため、まるで生野菜そのままのような高品質な粉末素材が生まれるのだ。この粉末素材は保存性に優れ、ドレッシング、パン、スープ、飲料、ふりかけなど、多種多様な食品への活用が可能。粉末という形が、未利用野菜の可能性を無限に広げ、新しい食のイノベーションを促す鍵となるだろう。

「おいしいアップサイクル」──農家と企業、生活者をつなぐ。

株式会社グリーンエース代表取締役の中村慎之祐さんは、「地域の農業を守りたい」という強い想いから、大学時代に未利用野菜の粉末化研究を始めたと語る。形や大きさが異なるだけで市場に出せない野菜にも「いのち」がある。その価値を技術で輝かせ、農家、企業、そして生活者をつなぐ「捨てないものづくり」を広げたい。これが「upvege」のミッションだ。高付加価値化、技術革新、共創モデル、新食文化創出という4本柱を掲げ、社会課題の解決とビジネス成長を両立させる「おいしいアップサイクル」という新しい概念を提唱する。それは、義務感ではなく、「おいしい」というシンプルな喜びを通じて、サステナブルな選択を日常に溶け込ませる試みである。

代表取締役 中村慎之祐さん

未来へ広がる共創モデル──「アップサイクル食品」を日常に。

「upvege」は今後、小売企業、外食企業、食品メーカー、自治体など、多様なパートナーとの共同開発を強化し、未利用野菜を活用した新商品を順次市場に投入していく。さらに、全国の生産地と連携し、地域循環型のアップサイクルモデルを構築することを目指す。目標は2030年までに「アップサイクル食品を一般食品市場の主要カテゴリー」として確立すること。これは、単なるニッチ市場の形成ではなく、食料生産と消費のあり方そのものを変革しようとする壮大なビジョンだ。食品ロスという地球規模の課題に対し、「upvege」は日本の独自の技術と発想で、おいしく、そして持続可能な食の未来を切り拓こうとしている。

ホームページはこちら

共創商品ラインナップ

あわせて読みたい記事

フードロス削減に向けた新たな挑戦!国産乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズが販売開始

【“まだある”を、おいしく回す】ロスパン通販「rebake」が仕掛ける10月の実験——大容量セットと『ロスパンの教科書』

【収穫食材の鮮度をそのまま都市へ 】「NEWoMan TAKANAWA」の「ZEROCORNER (ゼロコーナー)」で、鮮度保持技術「ZEROCO」を食体験する。

食材すべてを無駄にしたくない!吉野家の牛丼が挑戦する、「玉ねぎ端材のアップサイクル」と持続可能なスキーム