京都府が進めるスタートアップ支援の取り組みが、ついに実を結んだ。コネクトフリー株式会社(京都市下京区)が、時価総額10億ドル超を達成し、京都初のユニコーン企業として誕生したのだ。府内のスタートアップ支援体制が生み出したこの成果は、地域経済に大きな波及効果をもたらすことが期待されている。

世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成

京都府は、スタートアップ支援に積極的に取り組んできた自治体だ。令和元年10月に策定された「京都府総合計画(京都夢実現プラン)」を起点とし、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成を目指して、様々な施策を推進してきた。
その一環として、「京都スタートアップ・エコシステム推進協議会」が設立され、京都府、京都市、経済団体、産業支援機関、大学、金融機関などが一体となり、起業家支援のための環境整備が進められてきた。こうした支援策により、府内のスタートアップ企業の設立数は倍増し、資金調達額も大幅に増加した。
コネクトフリー株式会社は、平成26年に京都市下京区で設立された。暗号技術を駆使した「Internet3」の開発に成功し、これにより世界初となるサーバーを経由しない認証済端末同士の直接通信を可能にしたインターネットシステムを提供している。この技術の革新性が高く評価され、同社の時価総額は1,612億円に達した(令和5年11月時点、INITIAL調べ)。
このような成長を背景に、コネクトフリー株式会社は京都から誕生した初めてのユニコーン企業として名を馳せることとなった。これまでの京都府のスタートアップ支援が、国内外に通用する企業を生み出す土壌を作り上げたことが証明された瞬間でもあった。
京都府は、「起業するなら京都・プロジェクト」をはじめ、年間250件以上の起業支援プログラムを実施。さらに、180件以上の投資機関とのネットワーク構築や年間20件以上のピッチ会開催など、資金調達支援にも力を入れている。
また、事業会社や産学公グループとのマッチング会を開催し、補助金の交付を行うなど、協業獲得支援も展開。国際スタートアップ・カンファレンスや海外展示会を通じた海外展開支援も積極的に行ってきた。
京都府知事の西脇隆俊氏は、今回のユニコーン誕生に対し、「行政、経済団体、産業支援機関、大学、金融機関等が一体となって進めてきた取り組みが実を結び、大変嬉しく思います」と述べた。さらに、コネクトフリー株式会社が新たな価値を創出し続ける企業であることを高く評価し、「今回のユニコーン誕生が、京都の経済界における起爆剤として、次なる挑戦を喚起するなど大きな波及効果をもたらすことを期待します」との期待を寄せた。
京都府では、今回のユニコーン企業誕生を一つの契機とし、今後も世界から人や資金が集まる環境を整備していく方針だ。スタートアップの創出と育成を持続的に行えるエコシステムを構築することで、京都を拠点としたグローバル企業の輩出を目指していく。


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